介護付き有料老人ホームとは、要介護の高齢者が安心して暮らせる住まいです。しかし、選択肢が多すぎて「どの施設を選べば良いのか」「費用がどれくらいかかるのか」と不安を抱える方は少なくありません。
全国の介護付き有料老人ホームは【約7,950施設】(厚生労働省 2024年)にのぼり、月額費用は平均で【約20万円~35万円】。入居一時金の有無や補助制度の活用によって、負担額には大きな差が生まれます。また、施設ごとにサービス内容や医療対応、スタッフ配置基準が異なる点も見逃せません。
「想定外の費用が発生したらどうしよう…」「本当に適切なケアを受けられるの?」と悩むご家族・ご本人に向けて、この記事では介護付き有料老人ホームの制度、サービス内容、費用、選び方のポイントまで徹底解説。専門家による監修も加え、最新の基準や運営実態まで網羅しました。
無駄な負担や後悔を防ぎたい方、最適な施設選びの基準を知りたい方は必見です。本文では、具体的な比較データや申込手順、生活イメージまで丁寧にまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
介護付き有料老人ホームとは|制度の概要と位置づけ
介護付き有料老人ホームの法的背景と指定基準
介護付き有料老人ホームは、厚生労働省が定める「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。これは介護保険制度のもと、要介護者に対して介護サービスを提供する施設であり、設置や運営に厳格な基準があります。具体的には、介護職員や看護師などの人員配置基準が法令で定められており、入居者3人に対して1人以上の職員配置が必要です。また、24時間体制で介護スタッフが常駐し、食事・入浴・排泄・リハビリなどの生活支援を受けられる点が特徴です。サービス内容や契約形態は契約書面で明示され、運営基準や管理体制も厚生労働省によってチェックされています。
下記のような基準が設けられています。
基準名 | 内容 |
---|---|
指定要件 | 都道府県の指定を受け「特定施設入居者生活介護」を提供 |
人員基準 | 介護職員は入居者3名に対し1名以上・看護師も配置(施設規模等で変動あり) |
設備基準 | バリアフリー設計と緊急呼出し設備、適切な居室・共用空間の確保 |
運営基準 | 24時間対応・介護サービスの記録や相談窓口の設置 |
他の有料老人ホームとの違い
介護付き有料老人ホームと他種の有料老人ホームには、サービス内容や利用者層、法的な位置づけに明確な違いがあります。下記テーブルの通り、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、健康型と比較して、介護付き有料老人ホームは「介護サービスが包括的に施設内で完結」するのが最大の特徴です。特に医療ニーズや重度の介護が必要な方に最適です。
種類 | 主なサービス | 対応可能な介護度 | 施設内介護職員 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 介護・生活支援全般 | 要支援~要介護 | 常駐 | 24時間介護対応、介護保険利用可、手厚い医療連携 |
住宅型有料老人ホーム | 生活支援・自立支援 | 自立~軽度要介護 | 不在 | 必要時外部サービス利用、介護職員常駐義務なし |
サ高住 | 生活支援中心 | 自立~軽度要介護 | 日中のみ | 訪問介護併用、介護職員の24時間常駐義務なし |
健康型有料老人ホーム | 生活支援・健康管理 | 自立 | 不在 | 介護不可、要介護になると退去を求められる |
このように、介護付き有料老人ホームは重度の介護が必要な場合や、家族の「安心」を重視する方に向いています。
混合型施設の特徴と自立者対応
近年は、要介護者だけでなく自立した高齢者も受け入れる「混合型」の介護付き有料老人ホームが増えています。混合型施設では、自立~要介護5まで幅広い方が同じ環境で生活できるのがメリットです。例えば配偶者の介護度が異なる場合も離れずに暮らせる点など、家族の安心感も高まります。
主な特徴は下記です。
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自立・要支援~要介護の幅広い方の入居に対応
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生活状況や介護度が変わった場合も転居せずサポート継続可能
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入居一時金や月額利用料で自立者への加算がある施設も存在
混合型なら、将来的な身体状況の変化にも柔軟に対応でき、家族や本人にも人気です。自立度が高い方は費用やサービス範囲を事前に確認しましょう。
介護付き有料老人ホームのサービス内容詳細とケア体制
介護サービスの具体例(入浴・排泄・食事の支援)
介護付き有料老人ホームでは、日常生活に必要な入浴、排泄、食事などの介護支援が充実しています。要介護認定を受けた方が対象となり、介護福祉士や介護職員が24時間体制で生活全般をサポートします。入浴は個別や機械浴が選択可能な施設も多く、排泄介助も利用者の状態や生活リズムに合わせて丁寧に対応しています。食事は栄養バランスに配慮し、嚥下機能や疾患に合わせた個別対応が行われることが特長です。次の表は主な日常支援サービスの内容と特徴をまとめたものです。
サービス項目 | 対応内容 | 特徴 |
---|---|---|
入浴介助 | 週2~3回以上/個浴・機械浴 | 安全基準・プライバシー配慮 |
排泄介助 | 定時・随時/オムツ交換 | 排泄の自立支援にも注力 |
食事介助 | 配膳・介助/特別食対応可 | 栄養士による献立管理 |
身体介護 | 衣服着脱、移動介助など | 個別の身体状況に合わせる |
適切な介護支援によって入居者も家族も安心して日々を過ごせます。
医療・健康管理支援と看取りケア
医療面への支援も介護付き有料老人ホームならではの重要なサービスです。看護師が常勤(もしくは日中常駐)しており、健康状態の管理や服薬管理、必要に応じた医療機関との連携が徹底されています。高齢者の持病や急変にも迅速に対応できる体制が整っています。また、医師の訪問診療や緊急時の医療サポートも可能な施設が多く、日頃からの健康チェックが心強いポイントです。
終末期には、看取りケアに対応したホームも増えており、入居者や家族の希望に沿ったケアプランが作成されます。痛み緩和や精神的サポートなど、穏やかに人生の最期を迎えられる環境が提供されます。以下は、医療・健康管理の支援内容の一例です。
主な支援内容 | 特徴 |
---|---|
看護師による日常の健康管理 | バイタルチェック・服薬管理 |
医療機関との連携 | 定期的な訪問診療・緊急時対応 |
終末期ケア・看取り | 家族との連携・穏やかな最期の支援 |
リハビリ・レクリエーション・QOL維持活動
QOL(生活の質)の維持・向上も大きなテーマです。ホームでは理学療法士や作業療法士が設置されている場合もあり、日常生活動作を維持するためのリハビリプログラムが提供されています。また、認知症予防や心身機能向上のために、レクリエーションやイベントも積極的に企画されている点が特徴です。
主な活動例は以下のとおりです。
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日常の個別リハビリ(歩行訓練、筋力維持、嚥下訓練など)
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季節ごとのイベント(お花見、クリスマス会など)
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認知症予防を目的とした脳トレ活動や手工芸
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レクリエーション体操や音楽療法
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家族参加型の交流イベント
これらの活動により、入居者は社会的なつながりや生きがいを感じながら、前向きな生活を続けられます。
介護付き有料老人ホームの入居対象・条件と申込の流れ
入居対象者の詳細と条件
介護付き有料老人ホームに入居できる主な対象者は、要介護認定(要介護1以上)の方です。これにより、身体介護や生活支援が必要な高齢者が安心して長期生活を送ることができます。さらに、日常的な医療的ケアが必要な場合でも施設内に看護師が常駐し医療連携体制が整っている施設が多く、持病や退院後でも安心です。
認知症の高齢者も、ほとんどの施設で受け入れ可能ですが、重度の精神疾患や治療中の感染症など一部例外があります。基本的な入居条件を一覧にまとめました。
条件 | 概要 |
---|---|
年齢 | 原則65歳以上(施設により異なる) |
要介護認定 | 要介護1~5が原則 |
認知症対応 | 多くの施設で受け入れ(重度は要相談) |
医療ニーズ・持病 | 内部連携や看護師常駐施設で対応 |
入居判定 | 面談や主治医の診断書などで総合的に判断 |
医療体制や受け入れの細かな基準は施設ごとに異なるため、事前確認が必要です。
申込から入居までの具体的な流れ・書類準備
入居までの手続きは複雑に思われがちですが、流れを理解しておくことでスムーズになります。以下は一般的な手続きの流れと書類チェックリストです。
- 施設の資料請求・見学予約
- 現在の介護度や健康状態を確認、施設選定
- 申し込み書の記入・提出
- 面談・健康診断・主治医意見書の取得
- 入居審査・入居契約
- 入居日確定・必要書類提出・費用準備
- 新生活スタート
主な必要書類リスト
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介護保険被保険者証
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健康診断書または主治医意見書
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身分証明書
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家族の同意書や緊急連絡先
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認印(契約時)
書類に不備がある場合、手続きが遅れる恐れがあるので、事前の確認が重要です。分からない点は施設や行政機関に早めに相談しましょう。
家族や本人が知るべき重要ポイント
施設選びで失敗しないためには、複数の観点から比較・確認することが不可欠です。特に以下のポイントを意識しましょう。
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施設の介護・医療体制: 看護師常駐や医療連携の有無、夜間対応
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費用の内訳と月額総額: 入居一時金や介護費、生活費を明確に確認
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立地とアクセス: 家族の面会や本人の生活利便性を考慮
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認知症ケアやリハビリ対応: 必要な支援が継続できるか
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施設見学やスタッフの対応・雰囲気
下記にチェックリストを示します。
チェック項目 | 詳細内容 |
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施設の雰囲気 | スタッフや他入居者とのコミュニケーション |
医療・介護体制 | 看護師配置・医療連携状況 |
費用の透明性 | 初期費用・月額費用・追加料金 |
立地・面会の利便性 | 最寄駅やアクセス方法 |
レクリエーション内容 | 日々の過ごし方やリハビリサポート |
家族やご本人が納得できるまで複数施設を比較見学し、不安や疑問は遠慮せずに質問してください。利用者目線で細やかに確認することで、安心して新しい生活を始められます。
料金体系の詳細・費用シミュレーションと負担軽減策
入居一時金と月額費用の内訳詳細
介護付き有料老人ホームの料金体系は、主に入居一時金と月額費用で構成されています。入居一時金は、前払い型の初期費用として支払うことが多く、0円から数百万円と幅があります。月額費用には、家賃、食費、管理費、介護サービス費などが含まれており、相場は15万円から30万円程度です。施設によっては「前払いなし・全額月額払い」のプランも選択可能です。
支払方式 | 入居一時金 | 月額費用目安 | 主な内訳 |
---|---|---|---|
一括前払い | 200万〜800万円 | 15万〜22万円 | 家賃相当・介護費・食費・管理費 |
一部前払い | 50万〜300万円 | 18万〜25万円 | 家賃一部を前払い・残りは月額加算 |
月払いのみ | 0円 | 20万〜30万円 | 家賃・介護サービス・食費・管理費 |
月額費用以外に、要介護度による介護保険利用料の自己負担が追加される場合もあります。負担額を正確に把握するには、施設見学時や相談時に細かく内訳を確認することが重要です。
補助制度や控除で費用を抑える方法
介護付き有料老人ホームの費用は、国や自治体による補助制度や税控除を活用することで軽減できます。代表的な例としては、介護保険を利用することで介護サービス費の自己負担割合を抑えられます(所得により1割〜3割)。
また、特定施設入居者生活介護の指定施設であれば、更に介護サービスが手厚くなります。医療費控除や高額介護サービス費制度も活用可能です。例えば、1カ月の自己負担が一定額を超えた場合、超過分は後日に払い戻されます。
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介護保険の自己負担割合の確認(1割〜3割)
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自治体ごとの補助金や家賃助成制度の有無をチェック
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医療費控除の申請で所得税・住民税の軽減
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高額介護サービス費制度の利用
手続きの具体的方法については、施設相談窓口や市区町村の福祉課へ問い合わせるとスムーズです。
費用の支払い方法別メリット・デメリット
支払い方法によって、将来的な負担額や入居時の経済的リスクが異なります。主な方式には前払い(入居一時金型)、一部前払い(月額併用型)、月払い(全額月額型)の3つがあります。
支払方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
前払い | 月額費用を抑えやすい/長期入居で割安になるケースが多い | 途中退去時に返還金制度の有無を要確認/初期負担大 |
一部前払い | 柔軟な設計で退去時のペナルティが少ない | 月額費用・初期負担ともに一定の負担が発生 |
月払い | 初期費用を低く抑えられる/短期利用にも向く | 長期入居はトータルコストが割高/毎月支払い発生 |
選択する際は、入居予定者の年齢や資産、今後の生活設計を踏まえたシミュレーションが重要です。施設への入居は大きなライフイベントだからこそ、専門家への相談や複数施設の比較をおすすめします。
実際の生活の様子と施設環境の詳細
居室タイプと設備の多様性
介護付き有料老人ホームでは、安心して生活できるよう多様な居室タイプと充実した設備が整えられています。個室が一般的であり、プライバシーを守りながら快適に過ごせる設計です。居室の広さは施設ごとに異なりますが、車いすでも移動しやすいバリアフリー構造となっている点が大きな特徴です。転倒リスクを軽減する床材や段差のないフラットな構造、防災対策が徹底されたナースコールや自動火災報知器の設置も標準化されています。また、トイレや洗面所が各部屋に備え付けられている場合も多く、日常生活の自立支援につながっています。
設備項目 | 内容 |
---|---|
バリアフリー | 段差のない床、手すりの設置 |
防災・安全設備 | ナースコール、火災報知機 |
居室タイプ | 個室・夫婦部屋・多床室 |
トイレ/洗面所 | 居室内の配置が主流 |
食事内容と栄養管理
健康を維持するにはバランスの良い食事が欠かせません。介護付き有料老人ホームでは、管理栄養士による栄養バランスを考慮した献立が提供されます。主菜・副菜・汁物のほか季節の食材や行事に合わせたメニューが楽しめるのも魅力です。入居者一人ひとりの嚥下(えんげ)機能や噛む力に応じて、刻み食やソフト食など食形態も調整されます。アレルギー対応も徹底されており、持病や投薬事情に合わせて減塩食や糖尿病食など個別対応も行われています。自身では調理が難しい方も、安心して毎日の食事を楽しむことができます。
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管理栄養士が献立を監修
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季節やイベント時の特別メニューも提供
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アレルギーや疾患別に個別対応可能
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嚥下機能に応じた食形態の選択が可能
日常生活補助とレクリエーションプログラム
毎日を安心して過ごすためには、日常生活でのきめ細かなサポートと心身の健康維持が大切です。介護職員が24時間常駐し、食事・入浴・排せつ・着替え・移動など必要な介助を提供します。医療ニーズが高い場合は看護師による健康管理や、地域医療機関との連携も万全です。また、日々の生活が単調にならないよう、多彩なレクリエーションプログラムが用意されています。手芸、音楽、園芸、体操、脳トレ、季節イベントなど、楽しみながら心身のリフレッシュと交流が図れます。これらの活動は、認知症予防や生活意欲の向上にも寄与しています。
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生活動作の個別サポートで自立支援
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医療職員による健康管理体制
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多様なレクリエーションを毎日実施
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季節ごとのイベントや外出行事も充実
充実した設備とサポート、居心地の良い環境で、自分らしい生活を続けられることが介護付き有料老人ホームの大きな魅力です。
介護付き有料老人ホームのメリット・デメリットの徹底分析
メリットの詳細解説(安心感・充実した介護体制など)
介護付き有料老人ホームは、24時間365日介護スタッフが常駐している点が最大の魅力です。食事や入浴、排せつ介助だけでなく、看護師による医療的ケアが充実し、医療機関との連携も強化されています。緊急時にも迅速な対応が可能なため、高齢者だけでなく家族にとっても大きな安心感があります。
また、要介護度にも柔軟に対応しているため、介護が重度化した場合でも継続した生活が可能です。レクリエーションやリハビリテーションなどのサービスも豊富で、入居者同士の交流や心身の活力維持につながります。生活支援や見守り体制も万全で、初めて利用する方にもおすすめできる施設形態です。
メリット | 内容 |
---|---|
24時間介護・看護体制 | いつでも介護・医療ケアを受けられる |
医療機関との連携 | 持病や緊急時も安心 |
手厚い生活支援・レクリエーション | 個別リハビリや趣味活動への参加が可能 |
要介護度の変化に対応 | 介護度が変わっても継続入居しやすい |
デメリットと注意すべきリスク・課題
介護付き有料老人ホームは充実したサービスの反面、費用負担が高額になりやすいことが指摘されています。入居時にまとまった費用(入居一時金)が必要な施設も多く、月額費用も民間施設は高額になる傾向があります。
また、人気エリアや評判の良い施設では常に空室があるとは限らず、待機期間が長くなるケースもあります。施設によってサービス内容や人員基準、医療対応力が異なるため、公的基準を満たした施設選びが求められます。
デメリット | 内容 |
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費用負担が高い | 入居金や月額利用料が高額な場合あり |
空室リスク | 人気施設は待機者多数で即入居が難しいことも |
施設ごとのサービス差 | 医療連携・支援体制などは施設ごとに大きく異なる |
サービスの限界 | 特定の医療対応やリハビリなどは制限がある場合も |
選び方で失敗しないためのポイント
介護付き有料老人ホーム選びで失敗しないためには、必ず現地見学や体験入居を行い、職員配置・医療連携・レクリエーション内容を細かく確認しましょう。費用シミュレーションを実施し、入居金や月額利用料の内訳、将来的な負担増の可能性にも注意が必要です。
施設や運営法人の信頼性は、厚生労働省の指導基準や第三者評価、口コミなどからも確認できます。利用相談窓口や地域包括支援センターを活用し、複数施設の資料を取り寄せて比較検討するのも有効です。
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施設見学時のチェックポイント
- スタッフの対応や雰囲気が良いか
- 看護師配置や医療連携体制が十分か
- 食事やレクリエーション内容
- 居室・共用設備の清潔さ
- 追加料金や値上がりの有無
複数施設の条件をリスト化し比較することで、自分や家族に合った最適な施設選びが可能となります。
介護付き有料老人ホームと他施設との詳細比較および最新動向
種類別の比較表(介護付き・住宅型・サ高住・グループホーム)
介護施設にはいくつかの種類があり、特徴やサービス、適用される制度が異なります。各施設の主な内容、費用、人員基準、サービス内容を以下の表にまとめます。
施設名 | 対象 | 主なサービス | 費用目安 | 人員配置基準 | 介護保険 | 医療・看護対応 |
---|---|---|---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 要介護1~5 | 介護・生活支援・食事・見守り | 月額20~35万円程度 | 3:1(利用者:介護職員) | 適用 | 看護師日中常駐、ターミナルケア対応など |
住宅型有料老人ホーム | 自立~要支援、軽度要介護 | 生活支援・安否確認・食事提供 | 月額15~30万円程度 | 無制限(制約なし) | 原則対象外 | 医療連携は施設ごとに異なる |
サービス付き高齢者住宅(サ高住) | 原則60歳以上、要支援~要介護 | 見守り・安否確認・生活相談 | 月額12~25万円程度 | サービス提供職員 1名以上 | 利用者外部サービス利用 | 定期的な健康相談、医療連携 |
グループホーム | 認知症と診断された高齢者 | 少人数制の共同生活、日常生活援助 | 月額12~20万円程度 | 9名につき2~3名 | 適用 | 看護師配置は任意、医療対応は限定的 |
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介護付き有料老人ホームは、厚生労働省所管の「特定施設入居者生活介護」指定を受けていることが特徴です。
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住宅型有料老人ホームやサ高住は、介護サービスそのものは外部から個別に契約して提供を受ける点が他と異なります。
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グループホームは認知症の方のための専門的な共同生活施設です。
このように、各施設で費用やサービス提供体制、利用できる介護度・対応可能な症状が異なるため、目的とご本人の状況に合わせて選択することが重要です。
最新の入居トレンドと運営方式の変化
近年の高齢者施設の入居動向として、要介護度が高い方の受け入れ拡大や多様な人材配置の強化が進んでいます。特定施設の中には、混合型(介護付きと住宅型の併設)や、医療ケアに強みを持つ施設が増加しています。これにより、介護保険適用サービスと自費サービスを組み合わせて、より柔軟な生活スタイルに対応できる体制が整いつつあります。
また、厚生労働省の基準見直し等により、介護職員や看護師の配置基準の厳格化とともに、資格保有者の採用や夜間対応力の強化が進められています。
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混合型施設の増加で、長期的な生活設計や介護度の変化にも柔軟に対応できる環境が拡大
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「看取り」への対応や医療連携体制の強化が進む施設が注目されている
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入居までの費用や手続きが以前よりも分かりやすくなり、費用シミュレーションが提供されている施設も多い
今後は、家族のニーズの多様化に応えて、医療・介護・生活支援の連携や居住者の自立支援を重視する新しい運営方式が広がっていくと考えられます。施設選びの際は、サービス内容だけでなく人員配置や将来の介護度変化にも対応できる柔軟な運営体制をしっかり確認することが重要です。
よくある質問(FAQ)を散りばめた疑問解消コンテンツ
「介護付き有料老人ホームと有料老人ホームの違いは?」
介護付き有料老人ホームは、厚生労働省が定める「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、24時間体制で介護スタッフが常駐していることが特徴です。これに対し、有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」「健康型」に分かれており、介護サービスの内容や体制が異なります。特に住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、基本的に日常的な介護サービスが付いておらず、外部の介護事業者による訪問介護を受ける形となります。下記の比較表をご参照ください。
種類 | 介護サービス | スタッフ体制 | 厚生労働省指定 |
---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 施設内常時 | 24時間介護職員 | ○ |
住宅型有料老人ホーム | 外部サービス利用 | 夜間不在の場合あり | × |
サ高住 | 外部サービス利用 | 基本的生活支援のみ | × |
「入居条件はどうなっていますか?」
介護付き有料老人ホームの入居条件は、主に要介護認定を受けた高齢者が中心です。年齢制限は概ね60歳以上ですが、施設によって異なる場合があります。入居対象となる方の例は、以下の通りです。
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公的介護保険で要介護1〜5に該当する高齢者
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自力での生活が難しく、日常的な介護や見守りが必要な方
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医療的ケアやリハビリが必要な方(施設によって対応範囲が異なります)
申し込み時には介護保険被保険者証や健康診断書、本人確認書類が必要です。認知症や特定の疾患を持つ方でも入居できる施設がありますが、各ホームごとに基準が異なるため事前確認が重要です。
「費用はどのように負担されますか?」
費用には、一般的に入居一時金と月額利用料が発生します。入居一時金は無い場合も増えてきましたが、平均して数十万円から数百万円の範囲です。月額利用料は以下のような内訳となります。
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家賃・管理費
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食事提供費
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介護サービス利用料(介護保険適用分は1割〜3割自己負担)
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生活サポート費
多くの方が公的介護保険を利用し、自己負担割合に応じて料金を支払います。入居前に施設ごとの費用シミュレーションを行うことが推奨されます。
費用項目 | 平均金額(月額) | 補足 |
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入居一時金 | 0〜500万円 | 無料プランもあり |
月額利用料 | 15〜30万円 | 地域やサービスで変動 |
介護保険負担 | 1〜3割 | 所得により変動 |
「介護サービスの範囲は?」
介護付き有料老人ホームでは、食事・入浴・排せつなどの日常生活全般の介助に加え、機能訓練やレクリエーション活動、医療機関との連携による健康管理や看護師による観察・支援も提供されます。認知症対応や看取り、リハビリケア、夜間対応など幅広いサービス内容が揃っていることが特徴です。施設により専門性や提供可能なサービスの幅が異なるため、希望条件と照らし合わせて比較検討してください。
主なサービス一覧
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食事・入浴・排せつ介助
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身体介護(移動、体位交換など)
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健康管理、服薬サポート
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レクリエーション活動
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看護師常駐による医療的ケア(一部施設)
「申し込み・契約に必要な手続きは?」
申し込みには、本人や家族による施設見学後、必要書類の提出と面談が一般的です。主な必要書類は下記の通りです。
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介護保険被保険者証
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健康診断書
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本人確認書類
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収入証明や身元保証書(必要な場合のみ)
その後、施設担当者との契約手続きが行われ、入居時には重要事項説明など細かな説明を受けます。手続き完了後に日程調整のうえ、実際の入居が開始されます。施設によっては待機期間が発生することもあるため、早めの情報収集と手続きをおすすめします。